Snowflakes

お茶会日記

ひとひらの雪は手にのると、水になって消えてしまう。はかないけれどその美しさは格別です。
ささやかに燃え尽きるようないのちの灯火、そんな大切なお茶の時間を過ごしていきたいと思っています。
The snow on the palm disappears immediately after becoming water.Although it is ephemeral, its beauty is amazing.
I hope to spend hours of such precious Chanoyu, as a light of life as burned out in modest way.

北鎌倉: 雪介 宗雪 あったか雪見茶会 #2

北鎌倉 宝庵での「雪介 宗雪 あったか雪見茶会」の後編です。
 
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ここでは八畳間の設えのご紹介。
 
床の間には、宝庵所有の軸を掛けましたが、水桶の「梅」は、この朝に鎌倉駅前の「鎌倉市農協連即売所」で買い求めたものです。
 
 
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入口の机にいきなり梅が一抱えバケツに放り込まれていて、一気に気持ちMAXに上がりました。
「北鎌倉はまだ一輪、二輪でしたのに」と話しかけると「神奈川の南はもう満開だよ! さっきまで紅もあったんだけど、みんな持ってっちゃった」と農家さんらしいおばさま。
そうか、紅白であったのかー
残念ー 
紅白梅図ができたのに。。
まだ7時過ぎだったのに、先客がいらっしゃったとは。
 
とは言いながら鎌倉野菜もたくさんあって、昨日東急ストアでだいたい揃えてはいたんだけれど、日本画のモデルみたいなカブを購入。
 
朝イチの駅前で新鮮地元野菜が手に入るなんて、なんて素敵なの!
とほとんど勝利した気分で(何に勝利したかは置いといて)北鎌倉に向かいました。
 
そして梅の花は、雪介さんの手で床の間へ。
こぼれ梅がいい感じです。

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待合の四畳半から、この八畳間でお炭と点心で中立ちになります。
 
あったか茶会、ということでお菓子は蒸し饅頭、その前の点心も全部蒸しちゃおう!
と、北鎌倉駅前の「円」さんのアナゴの蒸し寿司、お椀は蕪蒸し、もひとつおまけでトロトロ茶碗蒸し、というムシムシ大作戦を考えていたのですが、甘かった。
すべて「蒸す」という調理方法に統一したことで、まず水屋のコンロが足りません。
懐石ではなく点心なので、全て同時に出さなければならず、蒸し寿司、蕪蒸し、茶碗蒸しを同時に調理する術を用意していなかった。
料理屋じゃないし。
まさに企画倒れとはこのこと。
 
茶碗蒸しは泣く泣くあきらめ、蒸し寿司は蒸したものから順にカラの電気ポットの中で保温。電気ポットって凄いな、これが臨機応変、人類の叡智ブリコラージユってことか。
とお待たせすること小一時間。
 
ようやく点心が皆様の前へ。
 
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社中の先輩からいただいた手作りのゆべしに朝イチで購入したカブの薄切りを合わせてお酒のつまみとしました。
 

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そしてお菓子は、前回と同じく kuu さんにお願いしたホカホカ蒸し饅頭。
餡は紫芋です。
雪の焼印を押していただきました♪
菓子器は、漆塗りのお花見用手桶です。
 
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ここで中立です。
夢想庵は、一畳台目のため、お客様は3名でいっぱいいっぱいです。
4名は結構無理。
なので、5名を2グループに分け、それぞれの席にホストの私たちも交代でちょっとだけ入れてもらうことにしました。
 
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お軸は、鴻池朋子さんからいただいた2010年のグリーティングカード
カードというか色紙ですけど。
お茶会に使ったことを報告したら、次のようなお返事をいただきました。
素敵な茶会のお写真ありがとうございます。この作品はワテラスとは関係なく(時期はワテラスの設置時期と重なりますが)確か震災後の年末のグリーティング用に描いたもので、狼の体の中にも津波が描かれてたと思いますよ。こうしてお軸になって嬉しいです。何をみなさん語るのか、茶会の美術鑑賞は手と口と様々な感覚機関を使うからいいですね新しい物語がどんどん生まれそう。鴻池
 
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オオカミの体の中に津波が??
あー 左上の尻尾の上ですね。
これは津波だったのか!
平成でいちばん衝撃的な出来事だったと思いますが、迂闊にもご説明しそびれました。
しかし、そういう意味では無意識にこの色紙を選んだのかも。。
 
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お花は、四畳半と同じで宝庵でご一緒の島田先生からいただいた卜半椿。
一輪でものすごくチカラがあるので、本当にありがたかったです。
かざった香合は、母の持ち物の獅子。実家の水屋に何気なく置いてあったのですが、お正月っぽいので借りて来ました。
鴻池さんのオオカミとも合ってるので、これも出会いだけど良かったな。
 
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お茶碗は一席目は京都の津田友子さんの白楽。
雲が描いてあります。ちょっと物語っぽい。とてもかろやかで今回初使いでした。白だし、雲だし、夢想庵にもとても合ってました。
そして、二席目も同じお茶碗で差し上げようとしたら、なんと津田さんの白楽、割れてしまったのです!
びっくり。
今回、いろいろなことが起こります。
が、ショックを受けていても仕方がないので、薄茶用に持って来ていた、イギリスの有名な陶芸家、スティーヴ・ハリソンの塩釉薬のボウルを代役に。
二席目のお客様の中に、スティーヴのお茶碗、楽しみにしていた前回水屋でお手伝いしてくれた方がいたので、それもありかと思いまして。
 
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茶入は鶴首。これも母の持ち物で、新年ということで。期せずしてオオカミ、獅子、鶴というなんとなく神様やおめでたいっぽい動物の組合せになりました。
 
茶杓は会社の茶道部茶杓削り教室をやった時に私が途中まで削ったものを、雪介さんにさらに削ってもらったもの。
「初雪」という銘だそうです。
 

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あ、水差しは菓子器と同じです。
真の手桶っぽく見立てていただければ!
 
二席終わると既に終了予定の15時。
この後は再び八畳間でみんなで花月を楽しむ!
という趣向を考えていたのですが、次の予定がある方もあり、残られる方々とカジュアルに薄茶で懇談。内輪ということもあり、既に車座。笑
 
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お菓子は鎌倉のダンデライオンと京都の亀屋長良コラボの和三盆茗荷谷「一幸庵」の「雪つぶて」。雪つぶては名前もいいけど、大徳寺納豆がアクセントで入っていてとても奥深い。雪合戦の雪玉の中心に「小石入れちゃいけません!」って言われた小石がきっと大徳寺納豆。どちらも前にいただいたことがあるもので、何かいろいろな人に助けられてこのお茶会は成り立っている、と今回もしみじみ思います。
 
 
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1時間も押しちゃって、谷戸には夕闇迫る逢魔どきみたいな感じになり、本当にギリギリ感満載でしたが「みんなであったかく楽しく過ごす」という命題はクリアできた感じだったので、終わりよければ全て良し!
 
次は4月27日(土)平成最後のゴールデンウイーク初日の予定です。
スタッフ、お客様、どちらも大歓迎です。また良き春にお会いしましょう。
 

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