Snowflakes

お茶会日記

ひとひらの雪は手にのると、水になって消えてしまう。はかないけれどその美しさは格別です。
ささやかに燃え尽きるようないのちの灯火、そんな大切なお茶の時間を過ごしていきたいと思っています。
The snow on the palm disappears immediately after becoming water.Although it is ephemeral, its beauty is amazing.
I hope to spend hours of such precious Chanoyu, as a light of life as burned out in modest way.

北鎌倉・椿茶会 春雨の花点前

大変ご無沙汰しておりました。

ようやく再び茶会を開ける気運が満ち、いつも釜を掛けさせていただいている北鎌倉・宝庵にて、表千家裏千家黄檗流煎茶そろい踏みのチャリティ茶会にて一席設けさせていただきました。

あいにくの春雨の中、お運びいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

天気が良ければ夢窓庵横の大きなカエデの木の下で野点の予定でしたが、朝からやむ気配のない雨にて、外を臨むアトリエ棟で臨時の室内での設え。

しとしとと、時には激しく降る山の雨に打たれる新緑が美しく、それはそれで得がたい春のひとときを過ごすことができました。

 

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琉球畳に書見台の急ごしらえの床。

軸は白石雪妃さんの「掬水月在手 弄花満香衣」、こちらは起田奈津子さんの首里織に墨で書いた唐代の詩の一節です。

茶箱はいつもの後藤久慶さん作の流水模様。今回は試作中の三日月のお盆も使う「花点前」。漆が乾かないので、お盆の正式デビューは夏以降になります。

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お菓子は空羽さんの椿もち。貴重なことに、午後のお席に入られた空羽さんにいろいろ説明いただき、「ちょうどこの席から見える椿の木の葉を摘んで使っているんですよ」とのお話に亭主側もお客様ともども感動。

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菓子器はこれもまだ試作品ですが、古来からある「春日」という意匠です。雪ノ下木工室作。

振り出しは金沢の金工作家、角居康弘さんによるスズ製。

 

早くもシャガも咲き始めた花々あふれる宝庵にて、終わりかけの椿の花を眺めながらの一期一会のひとときでした。

 

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