北鎌倉・七夕茶会 #2
8月は祈りの月です。
七夕茶会から早くも1カ月半が経ってしまいました。思えば、緊急事態宣言が出ていたその前でも、再び感染者が増えてきたその後でも、お茶会やることは叶わなかったかもなぁ、とちょうどその狭間でお茶会ができたことだけでも感謝しています。
今年の「伝統的七夕の日」は8月25日だそうですが、奄美大島では旧盆のこの時期に七夕飾りと一緒にお盆を迎えます。便乗して一か月遅れの七夕茶会の後編、ようやくお届けします。
去年に続き、今年も参加するみなさんに七夕の短冊を書いていただきました。前座での煎茶席の終わりに、短冊と筆ペンをお渡しして、お客様に思い思いに好きな願い事を書いていただきます。
後座は薄茶席になるため、準備の間に書いていただいた短冊を、浄智寺から分けていただいた笹に荘っていきました。
宇宙の調和の中で 地球全体が平穏な時間を 戻しますように。三夏
世界が平和で美しく健康でありますように。 南窓
地球が永遠に存続できますように。幹
コロナ禍が1日も早く終息し 平和な日が戻りますように。よしこ
調和が保たれ 新たに始まりますように 創介
静かに静かに おいしいお茶をいれて 暮らせますように。南陽
一期一会に感謝しつつ。宗雪
お茶がながく続けられますように。宗文
老鶯や 北鎌倉の 谷は雨 寅遍
なぜか俳句をしたためてくれた方もいらっしゃいますがw(当日は雨が降ったりやんだりする中、うぐいすの鳴き声を楽しむことができました)、
ほとんどは天への祈りです。
もともと七夕の短冊は「乞巧奠(きこうでん)」として機織りや手芸に関する上達を願い、後に書道や芸事などお稽古事の上達を願うようになったと言われます。なので、去年は「体幹の筋肉がつきますように」とピラティスのトレーニングのお願いをしている方などもいて、「昔は平和だったなあ」とわずか1年での激変した世界にあらためて驚かされます。
また、大病を経験した私の先生がしたためた「お茶をながく続けたい」との短冊には、こんな困難な状況の中をわざわざ来場いただけたありがたさと、「お茶の行事にはできるだけ参加していきたい」という強い決意に、思わず涙ぐんでしまいました。
(もっとも先生を正客にお迎えした午前中のお席は、「点前座の位置が悪い」と自ら立ってのご指導を受けたり、そんなセンチメンタルな感情が入る余地はありませんでしたが。。笑)
短冊を荘った笹の向こうは、お軸を巻いた後に由比ヶ浜で摘んだアフリカハマユウを生けました。
夜空の向こうに、星が一輪、輝いているように見えると良いなぁ、と思います。
お菓子は、星にちなんでちょっと奇抜ですが「鉱物ヲカシ」を角居康宏さんの銀色の菓子器に盛りました。VOID(虚無)のアルファベットが打ち出してあり、まるで暗黒物質の満ちた宇宙空間のよう。
干菓子だけでは申し訳ないので、鎌倉のkuuさんの主菓子を新見麻紗子さんの銘々皿でお出ししました。練り切りは偶然にも百合の花です!
後藤慶大さんの鎌倉彫での茶箱で和敬点前をやったのですが、ほぼ初めてのお点前だったので、午前中の席はそれこそ正客の先生からの手取り足取りのお点前になってしまいました。。
(しかもお点前に必要な薄板を忘れて、茶箱の道具箱の蓋を流用するという。。)
以下、会記となります。
次回は、10月25日、満を持してのジャングル茶会3の予定です。どうぞ無事に開催できますように。。
薄茶席
客 三輪宗文 久保田好子 繰入純
松川三夏 中西幹
亭主 黒田宗雪 中川創介
茶箱 後藤久慶(鎌倉彫)
茶碗 後藤久慶(鎌倉彫)
スティーブ・ハリソン(イングランド)
新見 麻紗子「ハ」(千葉)
波
あざみ(清水焼)
金継ぎ(沖縄)
苗(阿山窯)
茶巾入れ、茶巾筒 角居康宏
建水 後藤久慶
結界 竹
菓子器 角居康宏 VOID
菓子器 新見 麻紗子
瓶かけ 宝庵
茶杓
煙草盆・火入
床飾り 花器 竹
笹 笹
花 アフリカハマユウ
茶 奥西緑芳園(京都)
干菓子 鉱物オカシ ハラペコラボ
主菓子 白百合 kuu
茶筅・茶巾
夢窓庵 設えのみ
水指 曲げ
軸 鴻池朋子 夏の少女
茶碗 津田友子 雲
茶入
香合 糸巻