Snowflakes

お茶会日記

ひとひらの雪は手にのると、水になって消えてしまう。はかないけれどその美しさは格別です。
ささやかに燃え尽きるようないのちの灯火、そんな大切なお茶の時間を過ごしていきたいと思っています。
The snow on the palm disappears immediately after becoming water.Although it is ephemeral, its beauty is amazing.
I hope to spend hours of such precious Chanoyu, as a light of life as burned out in modest way.

北鎌倉:久慶 宗雪 北鎌倉 野あそび茶会 #2

あけまして令和です!

北鎌倉・宝庵での「野あそび茶会」、8畳間での野点の前に、4畳半での「花あそび」を行いました。

 

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こちら、通称「花月」と呼ばれる「七事式」のひとつ、「廻り花之式」を模したものです。

通常「花月札」という順番や役割を決める道具を使うのですが、手荷物の中に見つからなかったため orz、急遽、庭の落ち葉の裏に「月・花・一・二・三」の文字を書いて札の代わりとし、花を入れる順番を決めていただきました。

 

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「折据」の代わりは桜の木の小さな器。

なんだか山でタヌキかキツネに化かされてる感じで、かえって良かったかも。

お茶ってルール遵守というより、むしろ臨機応変を常に求められているなー  とあらためて思いました。

 

小さな床の間には、なな艸の松原尚世さんが一か月ほど前から北鎌倉の野の花で作ってくださったリース。去年展示会で拝見してとても素敵だったのでお願いしました。

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使われているのは、クリスマスローズハハコグサ、利休梅、馬酔木、貝母、ニリンソウ、キブシ、ヨモギフキノトウセイタカアワダチソウ(葉)

とのことです。とても豪華な春のブーケ!

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そして、みなさんに生けていただく花々はやはり松原さんにこのあたりで採取いただいた、野の花々です。

浄智寺さん、ありがとうございます)

 

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花器は、ツクシを摘んだ台峰で、こちらも保全会に許可をいただいて1週間前に切り出した青竹。鎌倉彫の木地師でもある中川創介さんに、花を生ける穴を開けて、支え台をつけていただきました。

 

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私は穴はシンプルな方がよいと思ったのだけど、「いろんな形がある方が面白いんじゃないか」ということで、お任せしてひさご型とか三角とか。

意外に「楽しい」と好評で、人の意見は聞くもんだなー 笑

 

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この四畳半では、お花を生ける前に、待合としてやはり台峰に自生するシナモンの木の根っこをスライスしたものをお湯に入れてお出ししました。

台峰の森を守る案内人、80歳(推定)のかっちゃんこと大峰緑地保全会の中核メンバーである川上克己さんは、子供時代にみんなでオヤツとしてこのシナモンの根っ子を齧ってたとのこと。

お湯に入れるとみるみるエキスが溶け出して香り、スライスを齧るとシナモンの刺激とほのかな甘みがあります。

北鎌倉の野遊び、感じていただけたらと思います。

汲み出しは、手持ちのしだれ桜です。南蛮船みたいな絵が、なんとなく春から夏へと季節をつないでくれるイメージで選びました。

 

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この「みんなで花を生ける」というミニイベントは、タスマニアでアリスのお茶会を開いたときに思いついたものです。

「七事式」の中で私がお稽古していて楽しいのが、「三友之式」(裏千家十三代圓能斎お好み)「廻り花之式」で順番にお花を生けていくときです。だんだん床の間に野山の景色ができてきてワクワクします。

花を生ける、というのはとても簡単。でも、考え始めるとこれほど難しいものはありません。その合間にあるのが、とりあえず用意された花々の中で自分で生けたい花を選び、場所を選び、景色を考えて入れる、というこの「あそび」です。(お茶だと「修練」なのですが)

タスマニアのお茶会では、ホバートの街中の手芸店の二階に、忽然とオーストラリアのワイルドな草原があらわれたようで、とても感動しました。

 

今回、北鎌倉の春の野はあらわれたでしょうか?

 

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#オプションの夢想庵でのお濃茶席につづきます