Snowflakes

お茶会日記

ひとひらの雪は手にのると、水になって消えてしまう。はかないけれどその美しさは格別です。
ささやかに燃え尽きるようないのちの灯火、そんな大切なお茶の時間を過ごしていきたいと思っています。
The snow on the palm disappears immediately after becoming water.Although it is ephemeral, its beauty is amazing.
I hope to spend hours of such precious Chanoyu, as a light of life as burned out in modest way.

北鎌倉:南窓 宗雪 ジャングル月見茶会

宗雪です。1年ぶりの更新です! 

アメリカはポートランド小さなお茶会を開いたりしたのですが(最近大人気なオレゴン州ポートランドは本当に素敵なところでした。その話はまたあらためて)ようやく北鎌倉で念願の「ジャングル茶会」を催すことができました。
本日はそのご報告です。
 
まずは、北鎌倉のお話から。
 
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北鎌倉。もちろん鎌倉は日本の観光地として有名な土地ですが、特に北鎌倉は世界に聞こえた巨匠、小津安二郎監督のいわゆる「紀子三部作」が大好きな私にとって、聖地とも言える土地です。
 
紀子三部作というのは、彼女こそ日本映画史上最強の美女、原節子さんが「紀子」という共通の名前で主人公を演じた『晩春』『麦秋』『東京物語』の三作のことで、最初の二本はいずれも北鎌倉が舞台となっています。
今は亡き銀座の並木座で、私はこの三部作と出会いました。
 
北鎌倉駅から横須賀線に揺られながら笠智衆演じる大学教授の父親と東京駅に向かう『晩春』での紀子。
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未来の旦那様と通勤電車を待つ北鎌倉駅で読書の感想を語り合う『麦秋』の紀子。
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その北鎌倉駅から徒歩10分、鎌倉五大名刹のひとつ浄智寺があります。
小津安二郎監督がその敷地内に居を構えたこともあるというまさに縁深き土地!
 
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この浄智寺の脇道をかつて小津監督も行き来していたと考えるだけで胸熱です。
そして今年2018年4月より、その浄智寺谷戸にある本格的茶会スペース「宝庵」が一般開放されることになりました。
文人ジャーナリスト関口泰氏が、
昭和9(1934)年に建築。設計は、戦前日本におけるモダニズム建築運動リーダーの山口文象氏。
数奇屋建築には8畳と4畳半の茶室が、そして特筆すべきは1畳台目の離れの茶室「夢窓庵」です。
 
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 京都の高台寺にある「遺芳庵」の逆写しで(遺芳庵は逆勝手)丸い大きな窓が特徴です。

一畳台目(いちじょうだいめ)は、千利休が二畳敷きを切り取って作ったのが初めと言われる、究極の茶室。

茶の点前に必要な台目の道具畳と、客が座るのに必要な一畳だけにまで切り詰めた、茶室の中では最も狭いものです。亭主の他に、客は3名が精一杯。

私の好きな利休をテーマとした小説に井上靖の『本覺坊遺文』があります。利休の弟子、本覺坊を通して利休自死の謎に迫ろうとする井上靖さん晩年の傑作です。今をときめく安藤サクラさんのお父様、奥田瑛二さんが利休を演じた熊井啓監督の映画をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

映画にそのシーンがあったかどうかは不明なのですが(おそらくあったでしょう)、師利休の最後の点前を見るために、この2畳しかない茶室に次々と武士や茶人たちが入っていく場面があります。家康、利家、紹鴎、有楽、光秀、山上宗二。。生きている人も既に戦場で果てた人も入り乱れ、何十名となく。。

そんなことがあろうはずがないのですが、そんなことも可能かと思えるような不思議な空間。それが一畳台目です。

この一畳台目でお点前ができる!

それだけでとても幸せな気持ちになります。

今回、濃茶をこの「夢窓庵」で点てさせていただいた(ついそう言いたくなってしまう!)そのしつらえが、こちらです。

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 ここに至るまで、かなりの試行錯誤がありました。

お道具だてなど、詳細はまた後ほど。 

Tasmania: Alice's Wonderland #3

オーストラリアはタスマニアでの「不思議の国のアリス」がテーマのお茶会。今回で完結です。

 

亭主: 黒田宗雪

半東: 鴻池朋子

水屋: 東海林裕子

 

正客: Danielle 

次客: Dianne

連客: Jennyfer、Jenny、Gillian、Shirley、Elizabeth

詰め:村井まや子

 

茶箱は丈夫な鎌倉彫のやつ持って行こうかなぁと思ったのですが、綺麗サビの方が良かろうと思って塗りにしたところ、日本に着いたらフタの横部分が割れてしまっていて若干ショック。まあ、トランクではなく機動性重視でリュックのバックパッカースタイルで行ったのが敗因ですかね。山にも持って行くので、満員電車の100kg圧にも耐えるパナソニックレッツノート並の耐久性が欲しいところ。フタも棗やら茶碗も載るので、塗りや蒔絵は向いてないと思うんですよね。桐、杉、桑の木地はシンプルで良いなぁ。

 

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話が逸れました。

 

「雪」のお点前は、お盆が必要ないこと、茶碗も棗も仕覆に入っているところが海外のお点前ではシンプルで華やかで良いんじゃないかなぁ、と個人的に思っています。私の先生は、2碗点てられるので「和敬」も良いんじゃないかとアドバイスくださいました。

 

箱にセットした主茶碗は、鎌倉の後藤慶大さん作の竹の節で作られた茶碗。軽くて割れなくて私は気に入っているのですが、私の先生にお見せしたところ「竹でできたお茶碗なんてありえない」

 

(๑ↀᆺↀ๑)

 

なのでもっぱら鎌倉彫の箱とセットで使っているのですが、今回万が一道中で割れると困るので、後藤さんのお茶碗にしました。正面もわかりやすいです。

 

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一碗を点てたところでさっそく正客のDanielle からの質問。

「なぜ正客だけ特別な茶碗で飲めるのか」

 

そうだよなー

特に今回は茶碗をお客様分パッキングするわけにもいかなかったので、各々「不思議の国のアリスのテーマに合うものをお持ち寄り」というポトラック方式にしたこともあり、正客の特別感は際立っておりました。

 

「正客はゲストの代表」ということは、冒頭に伝えてはいたけれど、本来お茶席の中ではみな平等というポリシーとは反していますよね。濃茶では「一碗を共にする」ということで担保されてるわけですが、薄茶ではそうもいかない。私の先生は社中が集まる初釜では相客すべてにいろいろ趣向を凝らした茶碗でもてなされていて、やはり回し飲む濃茶はともかく、薄茶は亭主側がひとりひとり気を遣わなくてはダメだなぁ、とあらためて思いました。

 

あと、衝撃だった質問は「男性は茶道をやらないのか」

 

そうですよねー

裏千家のお家元や大宗匠はそれは海外でのデモンストレーションを盛んにやられていますが、それを見る人はほんの一部。

ほとんどの「お茶」のイメージはキモノ姿の女性もしくは芸妓さんがお茶を点てている姿だと思います。

 

本来、茶道は男性のみ行うもので、女性が増えたのは日清日露戦争後に未亡人の身が立つように、政府が各家元に女性が茶道教授になることを認めさせたからだと聞きます。

 

きっかけはそうだとしても、確かに現在茶道を嗜む男性は圧倒的に少ない。私のまわりでもデザイナー、建築関係とある程度美意識の高い男性に限られます。

 

政財界の要人が競って茶道具を集めていた時代があったとは夢のよう。

さきほどご紹介した「和敬点」のお点前も、海軍のために淡々斎がご考案されたものだと聞きます。

 

現在の茶道に女性が多い理由は説明できますが、なぜ男性がやらなくなったのかは私にもわからない、としか答えられませんでした。非常に残念なことだと思います。禅が根本にあり、建築、書、歌、絵、花、香、食、陶芸、着物と全ての日本文化を学ぶことのできるお茶。本当にもったいないなぁ。こういう象徴性の極めて高い芸術表現は男性にぴったりなのに。

 

そして、今回「不思議の国のアリス」をテーマに行ったお茶会は、実は「各人の物語を針と糸を使ってテーブルランナーを制作する」という極めて女性的なプロジェクトの展示会のデモンストレーションとして開かれたものでした。

 

お軸は、窓に書かれた鴻池朋子さんによる「鳥」。

鳥は天と地を行き来する天使のような存在で、そして針と糸という道具も布の表と裏を行き来するとても風変わりなメディアであると。

 

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以下は、この「鳥」の「お軸」を描いた理由について、鴻池さんが英語で用意していたスピーチの内容です。

 

Needles, thread, and cloth are indeed strange media.

Sewing is clearly different from drawing something on paper. Drawings are made by working a pencil or brush on the surface of a piece of paper and leave a mark only on the surface of that paper. In the case of a table runner, the needle pierces the surface of the cloth and is pulled through the back, leaving a loop of thread. The needle then passes through the cloth again and returns to the front. It is as if these tools are teaching us that the world, unlike a piece of paper, has a front, middle, back, and depth. The thread marks the course taken by the needle in the form of a stitch. But, if the thread is cut with scissors, the thread easily slides out of the cloth like a snake, and the trace disappears as if it had never been there. It seems to me that these characteristics of the media used for table runners are also important.

Tomoko Konoike

 

針、糸、布は実に奇妙なメディアです。

裁縫は紙の上に何かを描くこととは明らかに異なります。 絵画は、紙の表面に鉛筆または刷毛を使用し、その紙の表面にのみ跡を残すことによって行われます。 テーブルランナーの場合、針は布の表面を突き刺し、引っ張られ、裏には糸のループが残ります。 針は再び布を通り、表に戻ります。 それは、これらの道具が、紙とは違って、世界が表、中、裏、深さを持っていることを教えているかのようです。 糸は、針によって捉えられたコースをステッチの形で残します。 しかし、糸がはさみで切断されると、糸は蛇のように布から滑り落ちやすくなり、まるでそこにいなかったかのように跡が消えます。 テーブルランナーに使用されるメディアのこれらの特性も、重要であると私には思われます。

鴻池朋子

 

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上の秋田在住のアーティスト、保坂剛志さんのテーブルランナーの作品は、実は裏です。
「裏がまた面白い」と鴻池さんは言ってました。
 
表と裏を自由に行き来する。
 
井上靖が利休について書いた『本覺坊遺文』という小説に、利休がいる2畳の茶室の中にひっきりなしに武人たちが入っていくのを弟子の本覺坊が目撃する場面があります。あんな大人数が狭い茶室の中に入りきれるはずがない・・・あれは死んでいった、もしくはこれから死にいく武人たちなのではあるまいか・・・
 
お茶という装置は「異界」に入っていくためのひとつのメディアだと思います。
女性は主に現実に生きているので、茶室の話題がついダイエットや噂話ばかりになってしまう傾向がありますが(笑)、私はある意味夢見がちでもあるので、茶室の中では現実とは違った世界を現出させたいと願っています。
 
それではまた。
 
このお茶会の経緯はこちらで。
 
 
 
 

Tasmania: Alice's Wonderland #2

こんにちは、宗雪です。

東京は桜が満開ですが、葉桜にならないうちにオーストラリアはタスマニアで開催した「不思議の国のアリス茶会」のご報告です。
 
そもそもタスマニアってどこ?とお茶会準備の様子はこちら
会場の「Frangipani Fabrics」の3代目、Heidi(ハイディ)ちゃんは雛祭りの生地で作ったスカートで出迎えてくれました。
 
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生地屋さんの二階の普段はソーイング教室をやってるイベントスペースが、今回のお茶会の会場です。
 
暖炉もあって、そこをまず床の間に見立て、花が咲いた後のユリをかざりました。秋田の森吉山でも、ヤマユリが咲いた後のこんな様子を見たことがありますが、こんな鮮やかでジューシーな感じではなかった。とてもエキゾチック。
 
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そして、ユリはネコを殺します!
Lilies kills cats!
 
そうです、ユリの花はネコにとって猛毒で、花粉を食べただけで腎臓の働きが止まり尿毒症からやがて死に至るとされています。(猫を飼ってる方はくれぐれもご注意! 私もユリの花は大好きでしたが飼い猫のために長らく飾れませんでした)
 
アリスと言えばチェシャ猫のニヤニヤ笑いを思い浮かべる方は多いのではないかと思われます。
 
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もう床の花はキマリでしょう!
しかし、マニアック過ぎるユリとネコの関わりのストーリー、そしてそもそもこのエキゾチックな植物がユリだと判別できるのかどうか。明らかに自己満足でしかありませんが、この花(の咲いた後)の美しさに心打たれてしまい、「不思議の国のアリス」茶会の床の花はユリ(花が咲いた後)に決まりました。

で、「お軸」ですが、それは鴻池朋子画伯の筆になります。

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これは「鳥」です!
象形文字の鳥。
確か、鳥は天使と同じように大地と空を繋ぐ存在、ということで描かれたもの。詳しくは、お茶会の最後に鴻池さんからのスピーチで語られたので、また後ほど。

床の花が決まり、軸が描かれ、お茶碗は「アリスがテーマの茶会」とあらかじめ参加者の方々に伝えていただき各人がカフェオレボールのようなものを持参していただくことになっています。

お菓子は寒天と小豆と食紅を使ってトランプカードを模することになりました。ハートのクイーンの登場です!
「寒天文化」を有するハンズクラフト秋田代表の東海林さんにキッチン付きのホテルで試行錯誤しながら作っていただきました。

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そして、席順はいらした順に「好きなアリスのキャラクター」を選んでいただき決めました。

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それから、席に着く前に、タスマニアの花々をそれぞれ窓辺に生けていただく花寄せを実施。こちらは、展示の「物語るテーブルランナー」の制作に直接関わっていなく席に入られない見学の方にも参加していただきました。フランジパニの2代目オブニーさんと3代目のハイジちゃんもガラスのコップやボタン入れに自分が選んだ花を生けていきます。

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タスマニアの草原が茶室に出現!

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利休七則に「花は野にあるように」と言いますが、野の花のエネルギーが満ちてきたようで、とても素敵な瞬間でした。(床の間のユリのことはこの後すっかり忘れてしまい。。。他にも緊張していたせいかいろいろなことを忘れてしまうのですが。。)

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お点前は茶箱の「雪」にしました。オーストラリアは夏から秋に移りゆくところでしたが、私の「宗雪」という名前の由来「生まれた時に雪が降っていたので、両親は雪と名付けようとしたけれど字画が悪かったので由美に変えた。お茶名をいただく時にその話を先生が覚えていてくださって雪を賜った」という話にも繋がるので。

受付で「アリス」を選んで正客に座ったDanielle が「私が生まれた日も雪が降っていたのよ」という話をしてくれて場がリラックスしてとても良かったです。

ダニエルは、前日「お茶会を守ってくれる」2人の人形を作って来てくれた女性。とてもあたたかく機転もきいてエネルギーに満ち溢れ、お正客としてもみなをリードしてくれそうな頼もしい存在でした。

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初めに「一期一会」という話をしました。タスマニアのフランジパニ・ファブリックスというこの場所で、Danielle、Dianne、Jennyfer、Jenny、Gillian、Shirley、Elizabeth、そして鴻池さん、村井さん、東海林さん、私というメンバーが再び集まるという機会はもう一生ないかもしれない。だからお互い尊敬の念をもって、充実したひと時を過ごすのがこの会の目的である。お正客が招かれた客の代表として問答をする、というルールもそのためにある。

どのくらい伝わったかわかりませんが、当日早起きして手帳に書いた原稿。

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その前の時間で「物語るテーブルランナー」の各自制作した作品のプレゼンテーションを行なっていて「さすが西洋人みんな喋りすぎw」って感じだったのが、私のつたない英語がさらに異界感を増させたのかもしれないけど、タスマニアの明るい光の中で異様な緊張感。

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で、あれほど練ったつもりだったストーリー、アリスと異界への架け橋となるお菓子の話をしようとして、思いっきり先にお菓子を出していないことに気がつきました。

あとから聞いた鴻池さんの話によると、「黒田さんがいきなり笑い出して何が起こったのかと思った」

そしてあまりにみなが緊張していてお菓子の写真も誰ひとり撮っていなかったので、こちらは思いっきり引き伸ばしたお菓子の写真。

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透明な寒天の中に、ハート型もしくはスペード型にクッキーの抜き型で抜いた小豆が入ったものです。前日にアジアの食材が揃っている食料品店でアンの缶詰を調達し、アンと寒天の割合などを吟味して作成した東海林さん渾身の作。

「お菓子忘れてました!」と鴻池さんはじめ総勢でお菓子を配り、一気に緊張感はとけ、なごやかにお茶会は進んでいきました。

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さらに続く


Tasmania: Alice's Wonderland #1

こんにちは。宗雪と申します。アーティストの鴻池朋子さんの金沢21世紀美術館での一風変わったお茶会のお手伝いをさせていただいて以来、お茶室を離れたいろいろな空間で、多少調子っぱずれなお茶会を開いています。いろいろな場所で、一期一会のかけがえのないひと時を過ごせればと思っています。

今回は2月にタスマニアで開いた「アリスの不思議の国」茶会のご報告。

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 え、タスマニアってどこ?
 
と思われる方も多いでしょう。私も最初はマダガスカルとあまり区別がついていませんでした。お恥ずかしい。
 
結論から言えば、タスマニアオーストラリア大陸の南東に位置する、南極に最も近い北海道より少し小さな島です。(下の地図の赤いところ)
 

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ちなみにマダガスカルはアフリカにあります。マダガスカルにいる珍しい動物がアイアイなら、タスマニアにはタスマニアデビルタスマニアデビルはオーストラリア本土では絶滅しているそうです。

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有袋類が生き延びている本土ですら失われた生き物が暮らしているタスマニアジュラ紀にできた地形がまだ残るという非常にワイルドな自然が広がる土地で、植物も南極ブナなどまったく見たことのない種類が街中でも見られて「世界の果てに来た」感が随所に味わえます。
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でも、首都のホバートは英国植民地の面影をこれまた残していてとても素敵。

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手入れされた庭庭には色とりどりの薔薇が咲き誇り、南半球は夏ですけれど、朝晩は涼しくハワイに似たとても快適な気候でした。

タスマニア案内はこれくらいにして、本題のお茶会の話。

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もともとは鴻池朋子さんの「物語るテーブルランナー」プロジェクトが、秋田から青森を経由して太平洋の南はるかタスマニアへと種を飛ばし「Storytelling Tablerunner」として始まったのが1年前。神奈川大学の村井まや子さんが、タスマニア大学と共同でその土地の人たちの子供の頃や地域に伝わる物語を採取し、実際に針と糸を使ってそのストーリーをテーブルランナーとして生地に定着させていく試みが1年経って形となり、作品の展示会が開催される運びとなりました。

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その展示会のイベントのひとつとして、テーブルランナーを制作された方たちと関係者をご招待して「日本式ティーセレモニー」を開く、というのが今回のアリスのお茶会の趣旨。

アリスをテーマに選んだのは、アリスがウサギを追って穴に落ちてしまった後、「Drink Me」とラベルに書いてあるビンの中の液体を飲むことで身体が縮んで小さな扉の向こうの「不思議な国」に入れるようになった、という冒頭からして「異界に入る」お茶会を象徴しているように思えたからです。ルイス・キャロルは英国人ですし、植民地であったタスマニアの人たちが知らないわけがない。これはお茶の世界観をわかっていただくには最適だ!と、自分の名案ぶりに小躍りしましたが、その考えが甘かったことは後でわかります。

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会場はホバートのメインストリートであるエリザベスストリートに位置するその名も「プルメリア生地店」いつまでたっても覚えられない英語では「frangipani fabrics」という地域の手芸マニアの情報交換基地としての中核を担うとっても素敵な店舗の二階。

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一階は店舗、二階はソーイング教室を開いたりするイベントスペースとなっています。
煉瓦造りの外観に内装もとてもシンプルで非常に趣味の良い空間、窓から差し込むタスマニアの夏の光、眼下には咲き乱れる花々。ここは楽園か!と気持ちアガリまくりで、展示会とお茶会の準備もテンション高く進みます。

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手前はオーナーの娘さんでこのイベントの立役者、ブライオニーさん。植物の芽吹きを意味するという素敵な名前ですが、英国の女性にはよくあるそう。知らなかった。

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お茶に使うお花をその辺から集めてくださいました。きれい!でも少し大振りかなぁ。

お軸には、鴻池さんに窓にチョークで絵を描いていただきました。贅沢!
なんと言っても、この後帰国してから「芸術選奨 文部科学大臣賞 」を芸術部門で受賞するのです。今年の映画部門はシン・ゴジラ庵野秀明さん、脚本部門は宮藤官九郎さんという豪華ラインナップ。この窓枠ごと持ち帰るべきだった? 笑

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脱線してさらに前置きが長くなってまいりましたが、本番は次回に続きます!

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